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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうすいしんし

香水紳士

大阪 圭吉

Lesen Sie 香水紳士 (こうすいしんし) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.752 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

が、やがてとり下すことが出来た。

紳士は、相変らず居睡っている。

と、この時、お祝いもののはいったその風呂敷包みを膝の上へ置きながら、ふと、クルミさんの頭の中へ、とてつもない考えがひらめいた。すると、前よりもはげしくクルミさんの手足はふるえ出した。が、その眼は、急にいきいきと輝き出した。

しばらくクルミさんは、どうしようかと迷っているようであったが、窓の向うに国府津の海が見えだすと、いきなりクルミさんは、制服のポケットの中へ手を突っ込んだ。そして、真紅のリボンのかかった、小さな美しい木箱をとり出した。

それは、信子さんへのお祝いに、こっそり買求めて来た、あの香水だった。

クルミさんは、ものに憑かれたような手つきで、ぶるぶる顫えながら、その美しいリボンをほどき、レッテルをはがして、木箱の蓋をあけると、中から、円い、可愛い香水の瓶をとり出し、その栓の封を切った。

クルミさんは、静かに前かがみになった。

栓を抜いた香水の瓶を、居睡っている紳士のほうへ、ワクワクふるえながら差出し、差出したかと思うと、素早く瓶の口を下へ向けて、紳士の洋服へ、惜しげもなくタラタラと中身を流しつくしてしまった。