Japanische Klassiker mit Furigana
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こうぎょとすいしつ
香魚と水質
佐藤 垢石
Lesen Sie 香魚と水質 (こうぎょとすいしつ) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.955 Zeichen · 8 Bildschirme
嶺の紅葉を波頭にのせて、奥山から流れる渓水と共に、里近い川へ出てくる秋の山女魚を木の葉山女魚というが、これは殊のほか骨がやわらかい。そして、食味もすぐれている。それは、渓川の水が次第に冷えてきたからである。
産卵後間もない夏のうぐいは、肉に一種の臭みを持ち、骨が硬いために到底食膳にのせ得ないのであるが、秋水に泳ぐ頃となれば見返すほどの食味となる。鰍の骨と肉も、水温と密接の関係を持つ。
鰍の族が三、四十種あるうち、海近い河口に棲むダボ鯊に似た鰍は肉に締まりがなく骨が硬い。ところが、川の上流水温の低い荒瀬に棲む、胸に吸盤のない鰍は四季通じて、骨がやわらかく肉に気品がある。奥山の鰍は、晩秋から早春までを季節と称されているが、初涼を身に覚えると、もう鰍の味を想い出すのである。
食品に、趣味嗜好を豊かにするのは、人生に滋情を蓄えるものであろう。いまはちょうど新涼の候である。一茎の野菜にも心をそそいで、その美を求むるところに、至味が生ずる。つまり味の芸術である。