Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまのあし

馬の脚

芥川 竜之介

Lesen Sie 馬の脚 (うまのあし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.968 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「では漢口へ電報を打ってヘンリイ・バレットの脚を取り寄せよう。」

「いや、それは駄目でしょう。漢口から脚の来るうちには忍野君の胴が腐ってしまいます。」

「困る。実に困る。」

年とった支那人は歎息した。何だか急に口髭さえ一層だらりと下ったようである。

「これは君の責任だ。早速上申書を出さなければならん。生憎乗客は残っていまいね?」

「ええ、一時間ばかり前に立ってしまいました。もっとも馬ならば一匹いますが。」

「どこの馬かね?」

「徳勝門外の馬市の馬です。今しがた死んだばかりですから。」

「じゃその馬の脚をつけよう。馬の脚でもないよりは好い。ちょっと脚だけ持って来給え。」

二十前後の支那人は大机の前を離れると、すうっとどこかへ出て行ってしまった。半三郎は三度びっくりした。何でも今の話によると、馬の脚をつけられるらしい。馬の脚などになった日には大変である。彼は尻もちをついたまま、年とった支那人に歎願した。

「もしもし、馬の脚だけは勘忍して下さい。わたしは馬は大嫌いなのです。どうか後生一生のお願いですから、人間の脚をつけて下さい。ヘンリイ何とかの脚でもかまいません。少々くらい毛脛でも人間の脚ならば我慢しますから。