Japanische Klassiker mit Furigana
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こうだいじ
高台寺
宮本 百合子
Lesen Sie 高台寺 (こうだいじ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.503 Zeichen · 14 Bildschirme
彼女も、舞台の上でくるりと廻る拍手に何喰わぬ顔で彼等に向い舌を出した。ずっと上手に、まるで知らない顔に挾まれ、里栄が一人おとなしく踊っている。
昼間、里栄が、
「今日出番どすさかい、是非来とおくれやっしゃ」
と云った。桃龍も居合わせ、
「きっとどっせ、好う好う左の花道見といやっしゃ」
と云ったが、自分一人になった時、
「ほんまに間違えてお座りやしたらあきまへんえ、左の花道のねきいお座りやっしゃ」
と念を押した。そのとき何とも思わず今こうやって見ると、つまり桃龍は、一番自分に目のつき易い場所へ彼等を座らせたことになっていた。肝心の踊の間じゅう、たまに入れ換ることはあっても殆ど始から終りまで里栄は広い舞台の彼方の端れで何もならず、桃龍が絶えず彼等の目前にあった。段々観ていると、彼女の特徴である大きな鼻や我儘そうな口許が人形のような化粧の下からはっきりして来た。おっとりした里栄に好意を感じつつ、自然位置の関係から彼等は桃龍を中心にする。こんなことにも彼女等二人の性格の違いが現われていて面白かった。
「悧巧なやっちゃ」
章子が桃龍を苦笑した。
彼等のすぐ後に、京都大学の学生が二人仲居をつれて見物していた。