Japanische Klassiker mit Furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme
蔦をその身に絡めたるまま枯木は冷然として答えもなさず、堤防の上につと立ちて、角燈片手に振り翳し、水をきっと瞰下ろしたる、ときに寒冷謂うべからず、見渡す限り霜白く墨より黒き水面に烈しき泡の吹き出ずるは老夫の沈める処と覚しく、薄氷は亀裂しおれり。
八田巡査はこれを見て、躊躇するもの一秒時、手なる角燈を差し置きつ、と見れば一枝の花簪の、徽章のごとくわが胸に懸かれるが、ゆらぐばかりに動悸烈しき、お香の胸とおのが胸とは、ひたと合いてぞ放れがたき。両手を静かにふり払いて、
「お退き」
「え、どうするの」
とお香は下より巡査の顔を見上げたり。
「助けてやる」
「伯父さんを?」
「伯父でなくってだれが落ちた」
「でも、あなた」
巡査は儼然として、
「職務だ」
「だってあなた」
巡査はひややかに、「職掌だ」
お香はにわかに心着き、またさらに蒼くなりて、
「おお、そしてまああなた、あなたはちっとも泳ぎを知らないじゃありませんか」
「職掌だ」
「それだって」
「いかん、だめだもう、僕も殺したいほどの老爺だが、職務だ! 断念ろ」
と突きやる手に喰い附くばかり、
「いけませんよう、いけませんよう。