Japanische Klassiker mit Furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme
できなくってもいいということがあるものか。わがままを謂ってはなりません」
侯爵はまたかたわらより口を挟めり。
「あまり、無理をお謂やったら、姫を連れて来て見せるがいいの。疾くよくならんでどうするものか」
「はい」
「それでは御得心でございますか」
腰元はその間に周旋せり。夫人は重げなる頭を掉りぬ。看護婦の一人は優しき声にて、
「なぜ、そんなにおきらいあそばすの、ちっともいやなもんじゃございませんよ。うとうとあそばすと、すぐ済んでしまいます」
このとき夫人の眉は動き、口は曲みて、瞬間苦痛に堪えざるごとくなりし。半ば目をきて、
「そんなに強いるなら仕方がない。私はね、心に一つ秘密がある。痲酔剤は譫言を謂うと申すから、それがこわくってなりません。どうぞもう、眠らずにお療治ができないようなら、もうもう快らんでもいい、よしてください」
聞くがごとくんば、伯爵夫人は、意中の秘密を夢現の間に人に呟かんことを恐れて、死をもてこれを守ろうとするなり。良人たる者がこれを聞ける胸中いかん。この言をしてもし平生にあらしめば必ず一条の紛紜を惹き起こすに相違なきも、病者に対して看護の地位に立てる者はなんらのこともこれを不問に帰せざるべからず。