Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lesen Sie 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.312 Zeichen · 57 Bildschirme
私とは宗旨違いで、宗論から地境の揉めごとになったようなもので」
「で?」
「そのお経の真っ最中、いきなりドカンと来ましたよ。何事かと思って窓を開けて見ると――窓は閉めていましたとも。隣の見える窓なんか、間違っても開けておくものですか。すると、プーンと煙硝の匂いがして、そこいらに人の姿なんか見えやしません。川には近くに船もいなかったようで」
「向う川岸から撃ったんじゃありませんか。親分」
八五郎はまた飛んでもないことを言うのです。
「馬鹿野郎、向う川岸から鉄砲の玉は届くかも知れないが、煙硝の匂いは届くものか」
「なるほどね」
などと感服する八五郎です。
「八、こいつは俺たちだけじゃ手におえないよ。この近所に、蘭方の良いお医者は居ないのか」
「何をやるんです。いくら蘭方でも、鉄砲で撃ち殺されたものは生き返りませんよ」
「そんな馬鹿なことを考えて居るわけじゃない。下手人は鉄砲をどこから撃ったか、それが知りたいんだ。どんな弾丸が、どう抜けたか」
「へエ、腑分けをする積りで? 驚きましたね、――ともかく捜して見ましょう。馬道に蘭方の医者があると聴きましたが」
それは言うまでもなく蘭学事始めから百何十年も前のこと、筋の通った蘭方医などある筈もないのですが、それでも長崎には和蘭人がおり、従って蘭方らしいものも日本には芽生えて居たわけです