Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lesen Sie 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.312 Zeichen · 57 Bildschirme
「すると?」
「女房のお栄も、召使のお房のことで、私を怨んでいないとは言い切れません」
江戸の大通ともあろうものが、召使にチョッカイを出して内儀にうんと油を絞られていることでしょう。
「それだけで?」
「まだあります。手代の駒三郎は、これは遠縁の者ですが、私の娘のお春と一緒になりたいと言い出し、親類の者に頼んで執こく言って来ましたが、身持ちがよくない上に、娘の婿というのは、佐渡屋の跡取を狙ってのことで、腹が見え透いているから、手ひどくはねつけました。娘のお春は十六ですが、男っ振りの良い駒三郎が、夢中になるようなきりょうじゃございません」
「なるほどね」
「まだありますよ。弟の伯次だって、私には義理のある仲で、ずいぶんよくしてやっている積りでも、何彼と不足もあるでしょう。怨めば怨むわけで」
斯う聴くと、有徳人の佐渡屋平左衛門も、まったく八方敵の中にいるわけです。
「で、どんなことがあったんで?」
「さア、これぞと申すほどのことはありませんが、何となく不気味で、夜中に寝首を掻かれはしないか、三度の食事の中に、毒でも入ってはいないかと、気の安まる隙もありません」
「へエ、そいつはどうも、手のつけようがありませんね」