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Japanische Klassiker mit Furigana

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きぶつどうじけん

鬼仏洞事件

海野 十三

Lesen Sie 鬼仏洞事件 (きぶつどうじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.468 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

さてこれから、どっちへいっていいのか、さっぱり見当がつかないのであった。その室には電灯一つ点いていなかった。が、まさか、囚人になったわけではあるまい。

一陣の風が、どこからとなく、さっと吹きこんだ。

それと同時に、俄に騒々しい躁音が、耳を打った。躁音は、だんだん大きくなった。それは、まるで滝壺の真下へ出たような気がしたくらいだった。

彼女は、おどろいて、音のする方を、振り返った。するといつの間にか、後に、出入口らしいものが開いていた。その口を通して、奥には、ぼんやりと明りが見えた。

(あ、なるほど、やっぱり第一号室へ通されるのだ!)

三千子は、脳裡に、絹地に画かれたこの鬼仏洞の部屋割の地図を思いうかべた。彼女は、今は躊躇するところなく、第一号室へとびこんだのであった。

その部屋の飾りつけは、夜明けだか夕暮だか分らないけれど、峨々たる巌を背にして、頭の丸い地蔵菩薩らしい像が五六体、同じように合掌をして、立ち並んでいた。

轟々たる躁音は、どうやら、この巌の下が深い淵であって、そこへ荒浪が、どーんどーんと打ちよせている音を模したものらしいことが呑みこめた。