Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
知らずのお絃は、どこへ出てもこの調子だ。せっかく喬之助に会わしてやろうと、茨右近と一緒に駕籠まではずんで迎いに来た。その当の相手が、何だかじぶんを疑って二の足を踏んでるようすだから癪にさわってたまらない。持前の気性でポンポンやり出す。「あたしゃ知らずのお絃というやくざ女で、まともの口をきくことなんか、名前のとおりにまったく知らずでございますのさ。オヤ、はばかりさま」
それじゃア何のことはない。まるで喧嘩を売りに来たようなものだから、いまチョイと湯殿を覗いて来て、もう、そこの横町に待たしてある駕籠の中に帰っていた茨右近が、
「おい、お絃、それじゃアおめえ、御新さんに、何の用事だかわからねえじゃアねえか」
「そうかい」ふり返って、「あたしゃまだ話さなかったかしら」
「何にも言やアしねえやな。だから見ナ。御新さんは狐につままれたってエ顔つきだ。ハハハハハ」
「アレサ、そうだったかい。気の早い人だねエ」
「何を言やアがる。どっちが気が早えんだ。シッカリ申し上げな」
女がうしろを向いて何かしきりに饒舌っているから、園絵は一そう怪訝に思って、
「どなたかそこにいらっしゃるのでございますか?」