Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

忌中、とは何だ?

生きている、死人だというのかッ!

五番首は、この長岡頼母だというのかッ!

何を! 四番首までは知らぬこと、五番目のこの首には、生憎と、いささか筋金が入っているのだ。神尾喬之助、如何に豪剣なりといえども、よも鬼神羅刹の類に化した訳ではあるまい。そう容易とこの首を渡しはしないのだ。来るがよい! 面白い! 来いッ……。

と、心中に叫び揚げて、絡むような恐怖を払いすてた長岡頼母である。別室には、二十余名の同僚も集っているのだ。ナアニ――! と、急に平素の豪快な頼母に復ったかれ、

「いつ書いて貼ったものか、見てやれ」

つぶやきながら、手を伸ばして忌中の文字に触った。と、どうだ! 指さきに墨がつくのだ。字が濡れている。まだ乾いていないのだ……いま書いて、貼ったばかり!

とすると、本人はまだここらにいるに相違ない。そうだ。この室内に、この、深として燭台の燃えさかる居間の中に――頼母は、引き抜いた一刀を右手に構えて、全身の神経を緊張させながら、一分、二分、三分、五分、一寸、スルスルと障子を開けにかかった。

三

スルスルと障子を開けて顔を出した金山寺屋の音松に、忠相は、にこやかな笑顔を向けて、声だけは、叱咤するように激しかった。