Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
大声がして、喧嘩屋の店から出て来た男女ふたりの人影がある。
知らずのお絃の声で、
「それじゃア先生、お頼みしますよ。その娘さんのお家は、黒門町とか言いましたねエ」
これがハッキリ魚心堂先生の耳に聞えた。
二
「さようです。下谷黒門町の左官職、壁辰さんの娘さんですよ――じゃアお妙さん……と言ったね。私が送って上げるから、夜みちも怖いことはない。駕籠で行きましょう。ナニ、わざわざ溜りを叩かなくても、そこらに夜駕籠が出ていましょう」
「はい、どうぞよろしくお願い申します」
戸塚の三次との間に、そんな謀計があって、頃あいをはかって飛び込んで来て助けたと見せかけ、こうして自分を源助町の喬之助の妻園絵の身代りに送り込もうとしているなどとは、ゆめにも知らないお妙である。
偉いお医者とばっかり思いこんでいる長庵が一緒だ。
すっかり安心して、つれ立って帯屋小路の家を出た。
見えがくれに魚心堂先生が後を尾けていることは、長庵も、お妙も、気がつかない。
魚心堂は、深夜に、知識の喧嘩屋の店から出て来たこの二人に奇妙に興味を感じて、そこは夜と言わず昼と言わず閑人の魚心堂のことだから、何となくあとをつけてみる気になっただけのことだが――。