Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

台所の板の間に、娘のお妙がしょんぼり立っているのを見ると、かれは、声を潜めて呼んだ。

「しッ! お妙! 自身番へ――自身番へ! 裏から、密と出るんだぞ――音がしねえように、跣足で行けよ――」

三

そして、同時に、茶の間の喬之助へ大声に話しかけた。……

「いいお正月じゃアねえか。なあ、お前さん、どこから来なすった――やはり、関東のお人のようだね」

と、直ぐまた声を低めて、娘のお妙へ、

「いいか、急いで自身番へ行ってナ、うちにこれから捕物がありますからって、町内五人組の方に来て貰うんだ――すこし手強いから、腕ッ節のつよいやつを纏めてくるように――」

「あの、お捕物――?」

さッ! と顔色を更えたお妙は、二、三歩、泳ぐようにうしろによろめいて、鈴を張ったような眼で父親の顔を見上げた。急には口も利けないほど、打たれたような驚愕だった。

「では、アノ。あの、若いお客様が、何か――何か――悪いことでもなすったのでございますか?」

「まあ、いい。手前の口を出すことじゃねえのだ。汝あただ、言われたとおり、こっそりこの裏ぐちから忍び出てナ、自身番へ駈けつけて――」