Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

殿中随一の雷おやじとして怖がられている大目附近藤相模守茂郷が、そこへ来かかっているのだ。

三

拝領葵の御紋服に丸の扇の紋のついた裃を着て、腰は二つ折れに曲がり、赭顔の額部に皺が浪のように畝って、頭髪は真っ白である。近藤相模守は七十七の老人だ。しきりにエヘンエヘンと咳払いをつづけて来る。つまり、今わしがここを通っておるぞと報せて、行儀の悪いやつは、形を正させ、よくないことをしている者には、それを中止して何食わぬ顔をするだけの時間を与えようとしているのである。この大目附は、殿中ではもっともむずかしい役の一つとなっていたもので、何しろ、千代田城は将軍家の邸宅とは言え、現在で言えば、役所をも兼ねているところだ。多勢の人間が詰めかけて事務を執り、仕事をするのだから、長いうちには色いろ面白くないことも出て来る。と言って、それを一々咎めだてしていては、針の先のようなことまで表沙汰にして、違反者ばかり出していなければならない。もっとも、百箇条の項目に触れるような重大事なら、存分に取り締ることも処分することも出来るし、また、それが大目附の役儀でもあるのだが、やれ少々膝をくずしたの、雑談をしていたの、欠伸をしたのということは、そうそう取り締れるわけのものでもない。