Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まじゅつ

魔術

芥川 竜之介

Lesen Sie 魔術 (まじゅつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.235 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

君は葉巻の箱の蓋を開けて、

「どうです。一本。」と勧めてくれました。

「難有う。」

私は遠慮なく葉巻を一本取って、燐寸の火をうつしながら、

「確かあなたの御使いになる精霊は、ジンとかいう名前でしたね。するとこれから私が拝見する魔術と言うのも、そのジンの力を借りてなさるのですか。」

ミスラ君は自分も葉巻へ火をつけると、にやにや笑いながら、の好い煙を吐いて、

「ジンなどという精霊があると思ったのは、もう何百年も昔のことです。アラビヤ夜話の時代のこととでも言いましょうか。私がハッサン・カンから学んだ魔術は、あなたでも使おうと思えば使えますよ。高が進歩した催眠術に過ぎないのですから。――御覧なさい。この手をただ、こうしさえすれば好いのです。」

ミスラ君は手を挙げて、二三度私の眼の前へ三角形のようなものを描きましたが、やがてその手をテエブルの上へやると、縁へ赤く織り出した模様の花をつまみ上げました。私はびっくりして、思わず椅子をずりよせながら、よくよくその花を眺めましたが、確かにそれは今の今まで、テエブル掛の中にあった花模様の一つに違いありません。が、ミスラ君がその花を私の鼻の先へ持って来ると、ちょうど麝香か何かのように重苦しい※(「均のつくり」