Japanische Klassiker mit Furigana
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さかなのえさ
魚の餌
梅崎 春生
Lesen Sie 魚の餌 (さかなのえさ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.827 Zeichen · 10 Bildschirme
今でもその子供等のことを、僕は時に思い出す。その子供たちは、たしかに僕の餌箱から、餌を盗んだのだ。
それはもう十年も前のことになる。
十年前というと、まだ戦争中のことだ。戦争中だというのに、大の男がせっせと防波堤に通って、魚を釣る。それも僕だけじゃなくて、防波堤の常連とでも言ったようなのが、十人近くいた。それに半常連。フリの客など。それに本職の漁師も時にこれに加わる。その本職の漁師たちは、お互いに大阪弁で会話した。その海は九州のある湾だから、すなわち彼等は他国者だというわけだ。
つまり何かの事情で移住してきたこれらの漁師たちは、その湾の漁場は土地の漁師に占められ、また舟を持つ余裕もないらしく、余儀なくこの防波堤にも仕事にやってくる。大体そういうことらしい。移住してきた事情は聞かなかった。彼等は総じて身なりも貧しく、態度も粗野だった。大阪弁がかえってその粗野な感じを助長した。それに彼等は僕等を、防波堤の常連たちを、敵視しているような気配もあった。その連中の多くは、防波堤の礎石についた赤貝を採る。四月や五月、そんな水の冷たい季節でも、平気で水にもぐる。