Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にしんぎょじょう

鰊漁場

島木 健作

Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme

Aozora Bunko

寝て起きたあとには、過労のために自分の身体を見失ったような感覚がけだるくいつまでも残っていた。古い病気が出て弱っているらしい様子を、その顔にありありと示しているものが何人も出て来た。どこへ行っても生臭い鰊の臭いから片ときも脱れることのできないのが何よりも閉口だった。飯や漬物や、――井戸から汲みあげて呑む水にさえほのかなさかなの臭いがしみついていて、口もとにもって行くと、ぷんとした。からだにしみこんだ臭いはいくら洗ってもおちなかった。宿舎のなかは、鰊の血と脂と鱗でギラギラ光っている漁夫たちの仕事着から発散する臭いでむれるようだった。その仕事着のままの姿で彼らは眠るのだ。すぐに彼らの一人一人が虱の巣になった。からだをうごかしているときには奥ふかくひそんでいて、ときどき蠢めくだけであったが、一度横になると襟首や袖口にぞろぞろと這い出してくるのだった。

「意気地なし、弱りやがったな。」

山本は例の調子で言って、源吉の顔を見あげながら笑った。

何かひきつけられるものがあり、あの晩以来、源吉はしきりに山本に近づこうとするのであった。山本も、これははっきりとした目的から少しでも源吉に話しかける機会を多く持とうとした。