Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にしんぎょじょう

鰊漁場

島木 健作

Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme

Aozora Bunko

五

とののしり合った。――その夜、鰊くさい仕事着のまま、風呂敷包み一つを小脇にかかえて津軽をさしてとぼとぼ帰って行く、木村のしょんぼりした後姿は見ていられなかった。

其の後、漁夫の一人が、盲腸炎でたった四日間病んだきりで死んだときにも、やはりこの「契約書」がものを言った。遺族がもらった慰藉料は二十円だったというものがあり、いや十円だというものもあった。

五

走り鰊がおわり、中鰊の時期にはいった。

一つのうわさがその頃漁夫たちの間に広まって行った。「今年は九一金がない。」ということだった。このうわさは大きな衝撃を彼らにあたえずにはおかなかった。九一というのは漁場主が漁夫にあたえる賞与の制度だった。昔は、九一というのは、漁場主と漁夫との間に行われた漁獲物の分配制度で、漁獲物の水揚の都度、漁場主に九割、漁夫に一割を配当するものだった。しかし漁夫は自分たちに分配された生鰊を、漁場主のために働く時間の余暇をもって加工製造しなければならず、そういうことは事実上不可能の場合がおおく、結局は腐らしてすててしまうことになるのである。それらの事情のために、九一制度はいつか変形し、終漁の際における漁場主の漁夫にたいする賞与の方法になってしまったのである。