Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
正面の神棚には燈明が赤々とともっている。漁夫たちは真新しい青畳に気をかねながら、もり上った股をきちんと揃え、節くれ立った両手をその上において窮屈そうに坐った。仕事着のままのもあり、わざわざその日のために持って来たらしい小ざっぱりとした着物を着こんだのもいた。船頭、下船頭が上座にすわり、漁夫がそれにつづき、陸廻し、炊事夫が一番下座だった。漁夫たちはむっつりとふくれた顔をし、案外元気がなかった。
「前借りなんぼした?」
「うん、……八十両よ。あと十両しかのこんねえで。汽車賃にも足りなかんべえよ。」
あっちこっちでがやがやと、となり同志で話し合った。みんな金のはなしだった。前借金は七十円以上借りてないものはほとんどないといってよかった。そしてその金もとっくの昔に一文のこらず使いはたしていた。明日からの三ケ月間のはげしい労働がまるで無償労働のような気がして、重くるしい気分に引ずりこまれるのだった。
帳場をうしろに従えて、漁場主である旦那が出て来て座につくとみんなはしーんとした。渋好みの和服姿で、赤ら顔の、どっしりした感じの旦那を人々はまぶしそうに見あげるのであった。