Japanische Klassiker mit Furigana
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とり
鳥
横光 利一
Lesen Sie 鳥 (とり) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.228 Zeichen · 30 Bildschirme
私はいった。お前と私との関係は長い間もつれていたが私と一緒に今日という今日過去の総ての記憶や生活を振り落して貰いたい。二人は生れ変るのだ。もしそれがお前にとっても慶びなら私と一緒に今日これから飛行機で旅行に立って貰いたい。しかしもし落ちて死んだらと彼女はいった。落ちて死んだら生活の始まりで終りなだけだ、それほど結構なことはないではないか。われわれの関係は他人とは違う。一度地上から足を洗わなければ古い生活の匂いはどこまでだってくっついてくるにちがいないのだ。もしこの上絶えずわれわれが古い生活に追われるようなら、そのときを限りとしてわれわれの生活を私から打ち切るだろう! そう私がいい切るとリカ子も初めて頷いた。頷くと私より彼女の方が乗り気になり出し、直ぐそれから航空会社へ電話をかけて二席を買った。間もなく二人は鳥になるのだ。鳥に。この喜びは地質学者の私にとってもこの上もなく大きいのだ。山と川と海と平野の上を飛び越える肉体、地を蹴る刹那、雲の上の感覚、私はもう今まさに飛ぼうとしている鷲のように空を見上げながら飛行場へ自動車を駈けさせた。――さてそのときになっていよいよ野の中で廻っているプロペラの音を聞き出すと、私はリカ子に耳へ綿を込ませ、良いかと訊いた。