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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

と、軽く腰帯を取った。

「それどころじゃねえッ」

「まあ落ちつけよ、手配が肝腎だ、そうあがって騒いだところで、めッたに捕まるものじゃねえ」

「何だい、てめえは」

「これだ」ふところを覗かせた。紺房の十手がある。「目明し」と聞くと、多市は何思ったか、振りきって、また一散にそれてしまった。

「妙な奴だ、手配をしてやるというのにズレちまった。はてな? ……」目明しの万吉、また何か幻想を描いて、根よくそこらを歩きだした。

堂塔は淡くぼかされて、人気もない天王寺の夕闇を、白い紙屑が舞っている。

日傘が一本落ちていた、――破れた女持ちの傘。

それを拾って、西門に立ったのが目明しの万吉で、

「ここだナ、ここで女がこう行って、弾みに、ポンと男へ傘をつかませたんだな。だが、何のためにだろう。アア手を空かせて体と心の両隙を狙ったのか」仕方身ぶりで、人の話と現場をしきりに考え合せている。

「とすると、こいつア上方のちぼ流でねえ、江戸の掏摸だ。定めし小粒でもないだろうに、盗られた奴も変っている、何だって俺をふりきって逃げたのか……ウーム、こいつあどうもそのほうがよっぽどネタになるかもしれねえ」