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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

はッと吾に返って、眼がしらの露を払い、銀五郎の頬へ自分の頬をピタとつけて耳に口。

「これ、銀五郎! 銀五郎!」

声のかぎり呼びかえすと、さっきから始終を見ていた万吉が咄嗟の気転、手拭に清水を湿して飛んできて、銀五郎の口へタラタラと注ぎこんだ。

ぽかと、眸を開いたのを見て、弦之丞はきっとなった。そして、彼の薄らぐ魂へも、はっきりとうなずけるような音声でこういった。

「こりゃ唐草! そちの最期に一言の手向けがある。今日までは、大府大番頭の家名をけがすまいとおもい、また私の両親や兄弟たちに憂き目を見せたくないばかりに、恋を捨て武士を捨て、血も泪もない懦夫となり終っていたが、今こそ、岐路に立った弦之丞は、自分の指して行く道を瞭かに思い決したぞ! 臨終のきわによう聞いてゆけ! そちの頼みはたしかにこのほうがひき受けた! 必ずお千絵どのの今の境界、骨身にかけて救ってとらす。また甲賀の家も支えてみせる。なおそのためには、この身の武運が尽きぬ以上、阿波の本土に入り込んで、世阿弥殿の末路を見届け、蜂須賀家の内秘を必ず突き止めてみせるであろう。よいか! 聞こえたか、銀五郎! 法月弦之丞の今日の誓い、これを黄泉の餞別として受けてくれい……」