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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

――と思うと長廊下、忍者ふせぎの仕掛張が、キキキキ……と鳴くかのように軋みだす。

はッとしたが弦之丞、甲賀組の者ではないから、浮体とか音伏とかいう忍法を知らない。思わず片膝を立て、一足跳びに廊下から庭先へ飛ぼうとした。

途端に、杉戸を蹴って駈け寄った天堂一角。

「おのれッ!」とばかり、うしろから組むが早いか、腕を輪締めに喉首を引っ掛けて、タタタタタと大廊下を五、六間引き戻した。

うしろから咽を巻き込んだ一角の腕、荒木流のやわらで首閂という必殺の手である。

この際、声をだすのは自殺するのと同じわけになる。自力をしぼってもがくのはなおあぶない。といって、連れ拍子に五、六間も後へ持ってゆかれれば、グッタリとして顎の下が紫色になりおわるのは必然なこと。

不意であるから、弦之丞もハッとしたには相違ない。

まず呼吸に気力をあつめたろう。

無論、心得のある彼、声もださず力もこめず、一角の引き戻すまま大廊下を逆に歩いた――いや、よろけた。

そのまに、左の肩を探って、対手の拇指をギュッと握る。いわゆる技の手懸り、一瞬の妙機である。

気当の一喝! 対手の耳をつんざいたかと思うと、エエイッ、襷を切って払ったよう。