Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
「冗談じゃねえ、そんな手前勝手な奴らには、この万吉はつきあえねえ」
「私だって、今にどうなるか知れないよ。自分で自分の心が少し変に思えてきたからね」
「そこで、チボの足でも洗いなせえ」
「とんだ所でご意見でした。そのうち、ゆっくり考えましょう」
「エエ、また話がそれちまった。お綱さん――」と万吉、今度はいよいよ真剣に、窓の格子へつかまった。
「この屋敷の奥かどこかに、まだ誰か人がいやしねえか」
「イイエ誰もいないようだね……どこの部屋も真っ暗だし、第一鼠がいないのは、食い物なしの証拠だから、時々、旅川周馬が帰ってくるくらいなものに違いない」
「おかしいなア……? たしかに、お千絵様という、前の世阿弥様の御息女が、ここに押し込められているという話なんだが」
「アアその御息女と私を間違えて呼んだのだね。お綱もはすっぱな姿を見せないと、これでも武家のお娘様に買いかぶられるのかしら」
「どうだろう、お綱さん」
「なに?」
「お前の相談はまだ聞いていねえが、この万吉が、命にかけてもきっとひきうけるから、現在俺の弱っている一つの大事へ、ウンと片肌をぬいでくれないか」
「ほんとにかい」