Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
それがだんだん、世の中を知り、苦労の味を噛みしめてくると、実意のある男を嫌ったことが後じゃもったいなくなるものだ」
「ご親切さま。はるばる上方くんだりから、そんな月並をいいに来るのは、まったく、お前さんでもなければできない芸だよ」
「おれもいつまで血なまぐさい、辻斬り稼ぎをしているのは嫌だし、お前も、いつまで指先の危ねえ世渡りでもなかろうが。のうお綱、ここらで一つ気を締めて、二人で大きな仕事を最後に、堅気な世帯でも持とうじゃねえか」
「ほんとに、私もいつもそう思いますよ……。だがね、お十夜さん、お前とだけは嫌ですとさ」
「なぜ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「だって、それは気持だもの」
「じゃ、誰かほかに思う男が」
「お綱にもあるんですよ」
「ウム、誰だ、そいつは」
「聞きたいの……」
「オオ、聞いておこう!」と孫兵衛。
助広の鯉口をつかんで、凄い血相、一膝前へすりだしてきた。
お綱は、冷えた茶をグッとすすって、苦っぽい笑みでお十夜の剣幕を斜めに冷視した。
こうした脅迫をうければうけるほど、お綱の意地は捻けるばかりで、むしろ、紅舌に男をのた打たせ、思うさま冷然と揶揄してやりたいような度胸まですわってくる。