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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、その話は聞いているが、いずれお上から相応なお代屋敷を賜わるであろう」

「さあ、それは平常、まじめにお役目を勤めている連中のこと。拙者はもう隠密組などという、泰平の世に無用なお役儀には飽き果てましたよ。で、こん度をいい機に浪人いたして、これからはちと自由なほうへ生き道を伸ばす考え」

「結構でござります」

「無論、そう行かねば生き甲斐がござらん。ところで、弦之丞殿、お身も大番頭の子息の身で、自由な恋をし、拘束のない境地へ去られたのは賢明でござるよ。その段、周馬も敬服いたしている。イヤ実際、五百や六百石のこぼれ米を貰って朝夕糊付けの裃で、寒中に足袋一つはくのにも、奉書のお届を出さなければ足袋がはけないなんていうような幕府勤めはまッぴらでござるよ。アハハハハハ。おう、それはさておき、法月氏、江戸へお帰りになったからには、さだめし、お千絵殿とお逢いであろう。ただ今あの方は、どこにおられますな?」

と、余談にまぎらして、巧妙な探りを入れる。この貉め! と弦之丞は心で冷蔑して、

「その消息は、トンと承りませぬ。お千絵殿の行くえはこのほうより、むしろそこもとのほうが百も二百もご承知あっていい筈だが……」