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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

と、お獅子の声のありッたけが、弦之丞の後ろについてゆくお綱の吾をハッとさました。

常々も、忘れてはいない可憐しい妹! 可愛い弟! それを、今は、なんという魔がさしたのか、弦之丞の姿を見た刹那にフイと忘れて、あそこへ置き去りにしてきてしまった。

耳をつんざかれて、甘い幻想は霧のように散った。そして、なぜか、お綱はうろたえた。

「あっ……」

こう洩らして、ふりかえるまもあらばこそ、息せき切って飛んできた乙吉とお三輪は、永い間、氷のようにカジカんでいたおさな心に、会いたい会いたいと念じていた姉を見つけて、それこそ本当の児獅子が牝獅子の乳へでも狂い寄るように、お綱の袂がほころびるほど、両方から、むしゃぶりついてきたのである。

「おお! 三輪ちゃんだったかい」

と、両の袂へ、鉛のような情の重目をかけられて、お綱は、飲ンだくれな父はとにかく、自分という大きな姉がありながら、こんな無邪気な者へ、こんなしがない稼業をさせておいた、自責の念にせめられて、思わずよろよろと足を乱した。

「姉ちゃんだ! 姉ちゃんだ! あたいの姉ちゃんだ!」

「まア、乙吉も――」と、本能的に、ひしと二人を抱きしめて、見返りお綱、血の気もなく横にそむけた顔をおののかせて、