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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうじゃの? ……」

輝高は少し考えてから、

「当家へ、あまり出入りの多いは人目につくかも知れぬ。その女を案内に、ともかく、そちが訪ねてまいったらどうじゃ」

「手前も、それがよいように考えておりまする。ではお綱、これからすぐに案内を頼むぞ」

「乗物は?」

左京之介がいうと、鴻山は支度をなおして、いつもの眉深い編笠をいただきながら、

「町へ出てから求めます」

「ウム、それもよかろう。いずれ今宵のうちに、吉左右が知れるであろうから、心待ちに帰邸を待っておるぞ」

「はっ、では……」

と、庭先に立って一礼すると、常木鴻山は、お綱を目で促して、ピタピタとそこから歩きかけた。所詮、生きては、この屋敷を出られまいと諦めていた結果が、思いがけなく、妹や弟を救うだけの金を恵まれた上に、これからすぐに、弦之丞のいる所へ訪ねて行かれようとは、何から何まで、夢のようなトントン拍子。お綱は、嬉しいといってよいか、悲しいといっていいか、また、恥かしいといってよいか、自分で自分が分らぬような感激につつまれていた。

そして、四、五間歩きかけた。

すると不意に、長廊下の向うから、晴々とした女の高笑いが聞こえた。