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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「今さらそんなことをいって、ぷんぷん当り散らしていたところで始まるまい。早くこの怪我人を、どこかへ落ちつかせて手当てをしなけりゃあ……」

「深傷か?」

「深傷だ。――だが、急所じゃない」

「助かるものなら背負って帰ろう。何をするにも、この暗闇じゃ、しようがねえ」

「ウム、さし当って、血止めはギリギリと巻いておいた。だが、おれの手は血糊でヌラヌラしてきたから、貴公、少しの間代ってくれ」

「いや、そう皆で血みどろになっては、町へ出てから人目につく。おい半次、半次、てめえ、どこか町医者の所まで、天堂一角を肩にかけて行け。そしてな、役にも立たねえ、あとの有象無象は、もう用はねえからと追い返してしまうがいい」

「ええ、返します。ですが、旦那」

「なんだ」

「あいつらが、酒代を貰ってくれというんですが……」

「ふざけたことを申すなッ」

「それや、きッかけが悪くって、お役には立ちませんでしたが、賭場のゴロや駕かきなんぞを、呼び集めてきたんですから、手ぶらじゃ帰りません」

「太い奴だ。手ぶらで帰るのが嫌ならのべ金をやろう! どいつだ、酒代がほしいのは」と、さなきだに、弦之丞を討ち損じた腹立ちまぎれ、そぼろ助広を抜いて脅しにふりこむと、頼まれて来たあぶれ者は、胆をつぶして逃げだしてゆく。