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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

と、肩に大きな波を打たせて、真ッ青になった目明しの万吉、罵るごとく、叱るごとく、こう呶鳴りつつ涙は頬をボロボロと流れてくる。

乱れ髪に顔を埋めて、お綱もそこへ泣き伏してしまった。――ややしばらくのすすり泣き、万吉も棒立ちになったまま。

すると、そこへ、戸まどいをしたような一人の男、バタバタと裏口へ入ってきて、座敷の中を覗きながら、

「御本院で伺いましたが、こちらに、お綱さんがおいでになるそうですが」

「あ、誰だい、お前は?」

畳の上に、脚絆わらじで突ッ立っている万吉、あわてて匕首を後ろへ隠して、土足のまま坐ってしまった。

「へい。私は、吉原の孔雀長屋にいる者ですが、お綱さんの親父さんが大門口で喧嘩をして対手の侍に斬られました。え、昨日の朝の出来事なんで……。昨夜はどうにか持ち越しましたが、今夜あたりは、とても難かしそうだから、すぐに、私と一緒に来て貰いたいと――へい、長屋中の相談で、お知らせに飛んできたような訳で……」

「ああ、間に合ってくれればいいが」

枕元にいる長屋の者は、時々、深い溜息でこう祈った。そして、お互いに、痛い心をジッと抑えて、虎五郎の容体を見まもっていた。