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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだお若い普化宗のお方。あれ、あのように一心に吹いているのに、誰か、お鳥目に気がつく店の者はいないのかしら……」

「どれ、拙者が喜捨してつかわそう」森啓之助が、なにがしかの小粒銀を紙入れからつかみだして、手欄の方へ立ち上がった。

「森様、お包み致しましょう」お米が小菊紙を出していうと、もう幾分か酒に酔わされている啓之助、

「何の、物乞いにする投げ銭に、ご丁寧なことが要るものか」と、下を目がけて、

「虚無僧! 銭をくれるぞ」

パラッと小粒を投げつけた。

と虚無僧は、尺八の手をやめ、肩や天蓋へ落ちてきた金には目もくれず、スッとそこを去りかけた。

ところへ、ドンと川長の前へ投げ出されたのは、道中早次の駕二つ、着くが早いか、その一挺の中から、半病人で飛び出した由造が、

「お嬢さん! 由造です! ただ今帰りました」

「オオ由かい?」お米は二階から身を伸ばした。

「唐草の親分、やっとお連れ申して参りました」

「まア、早かったねえ! 今行くから待っておいで」今の尺八も客も忘れて、お米はトントントンと袂を舞わして店さきへおりてくる。

「ア痛、ア痛たたた……」

ほとんど半身、外科の手当に繃帯されている病人は、夏の夜の寝苦しさと、傷の激痛に呻きを太く、時折白い床の上に現の身をもがいていた。