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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「お退きッ――」

と横に薙いで、小太刀の光と共に飛び抜けようとすると、その時まで、廻廊の真ン中に立って、双方を眺めていたお十夜は、「これッ」と、お綱のうしろから抱きすくめた。

そして、無碍に利腕をねじあげようとするのを、お綱は振り払って、お十夜の影へサッと小太刀の光を投げた。――そして、素早く廻廊の欄干を躍ったかとみれば、翼をひろげた鳳凰のように、一丈ほどな御堂の下へ飛び下りた。

「うぬ!」

「逃すな。お綱を!」

と、孫兵衛に周馬は、すぐ欄干へ足をかけて、お綱のあとから跳ぼうとすると、どこからか、轟然と夜気を揺すって、一発の銃声、ズドーンと鼓膜をつんざいた。

「や? ……」

ぎょッとして、向うを見ると、その時、天堂一角が飛龍とみせて斬りつけた剣光の先から、万吉も、十手をくわえて観音堂から跳びおりた様子――と同時に、

「オオ、向うへ!」

と叫んだのは万吉の声。お綱の影と一ツになって、バラバラと、淡島堂の石橋を越え、お火除地の桐畑へと走って行った。

「それッ、見失うな」

と、お十夜は真ッ先に、周馬と一角もその後から追いつづいたが、ふとみると、いつのまに横道から出てきたのか、二つの駕に、四ツ五ツの提灯を振って、先の者と後の間を、邪魔するように散らばってゆく人数がある。