Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
「はい」仲居が立って、すぐ札を集めてお綱の前へさしだした。お綱はそれを重ねたまま、ピリッと裂いて煙草盆の火にくべてしまう。
「アラ、つまらない……」
舞妓たちの眼は、和蘭陀カルタの煙を見あげて、うらめしそうにつぶやいている。
「では、私は勝手に支度をしなおして、日蔭ができたらここを立ちますから、みんなも構わずに戻って下さい」
「さようなればお嬢様、ぜひ来年の祇園祭りには、またおいでなされて下さいませ」
「ええ、またきっと上ってまいりましょう。アア、それから私の頼んでおいた道中着物は? ……」
「こちらへ包んでおきました。ではお嬢様、どうぞご機嫌よろしゅう」「道中お気をつけなさいませ」「水あたりやゴマの蠅にも……」などと入れ代り立ちかわり、送り言葉のあいさつを述べて、この一行はまた、三条口へつづく並木をゾロゾロと引っ返してゆく。
ぽんぽんと手を叩いて、お綱はそのあとで女中を呼んだ。
「永く店を塞いでいてすみませんでしたね」
「いいえ……あの、御用は何でございますか」
「こんな姿をして歩くと、道中駕かきや人足にばかにされて困りますから、ちょっと支度をなおしたいと思うんですが……」