Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
序にかえて
あやしくも重ねけるかなわがよはひ
八十四歳一瞬にして
これは今年の正月の私の誕生日に、子供たちが集った時に口ずさんだのです。
いつか思いの外に長命して、両親、兄弟、主人にも後れ、あたりに誰もいなくなったのは寂しいことですが、幸いに子供だけは四人とも無事でいますのを何よりと思っています。近親中で長生したのは主人の八十七、祖母の八十八でした。祖母は晩年には老耄して、私と母とを間違えるようでした。主人は確かで、至って安らかに終りました。この頃亡兄は結核であったといわれるようになりましたが、主人も歿後解剖の結果、結核だとせられました。解剖家は死後解剖するという契約なのです。医者でいる子供たちも、父は健康で長命して、老衰で終ったとばかり思っていましたら、執刀せられた博士たちは、人間は老衰だけで終るものではない、昔結核を患った痕跡もあるし、それが再発したのだといわれます。解剖して見た上でいわれるのですから、ほんとでしょう。つくづく人体というものを不思議に思います。
それにつけても、割合に早く終った兄は気の毒でした。何も長命が幸福ともいわれませんけれど、その一生に長命の人以上の仕事をせられたのですから。