Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
賑かだろうから」とおっしゃったので、私も附いて行きました。
夜は外へは出ませんでしたから、灯の一杯にともったのが綺麗でした。薬師は左の方なのですが、ひどく明るい右の方へ行きますと、道の右左ともに二階建の大きな家が並んでいます。それは貸座敷なのです。表二、三間は細い格子になっており、中は広い座敷で、後は金箔を押した襖で、ちょうど盛粧をした女たちが次々と出て並ぶところでした。近寄らなくても、往来からよく見えます。どれも大きな髷に結って、綺麗な簪をさし、緋の長襦袢に広くない帯、緋繻子の広い衿を附けた掛という姿です。すっかり順に並びますと、その前へ蒔絵の煙草盆と長い煙管とを置きます。これを張見世というのでしょう。右の出入口は広い板敷で、上には大きなランプが幾つか吊してあり、若い男が角の大きな下足札に長い紐を附けたのを二、三十本も右の手に持って、頻りに板敷を叩きます。終りに板の間の上をうねうねと揺すぶって、鼠鳴をするのです。それから外へ出て、格子を叩いています。入口には三所ほどに、高く盛塩がしてありました。縁起を祝うのだそうです。内田病院の前まで行きましたが、あっちでもこっちでも下足札の音がします。