Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
どんな暮しでもするから、そのつもりでいておくれ」と、涙をこぼしておっしゃるので、「えゝえゝ、行届きませんが、どうでもして御一緒に過しましょう。その内には子供たちもそれぞれに成人しますから」と申しました。
この問答を聞いた森の母は涙に誘われて、「それはお前の大手柄というものだよ」といわれ、ついで小倉への手紙にもそのことを書いて、「お前も喜んでおやり、きみ子はお母さんから金鵄勲章をいただいたから」といわれたので、それから暫くの間、私は金鵄勲章という綽名が附けられました。兄からは名誉を重んじるといわれましたが、金鵄勲章などは随分な負担でした。
次の手紙も母宛ですが、私のために書かれた一節があるので写して置きました。
お君さんの安心立命の出来ぬは矢張倫理とか宗教とかの本を読まぬ為めと存候。福岡にて買ひし本の内に『伝習録』といふものあり。有触れたる者なれど、まだ蔵書に無き故買ひおき候。これは王陽明の弟子が師の詞を書き取りしものなるが、なか/\おもしろき事有之候。中にも、知行一致といふこと反復して説きあり、常の人は忠とか孝とかいふものを先づ智恵にて知り、扨実地に行ふとおもへり。