Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

で名高い阿仏尼が東国へ下る時に、その女の紀内侍に貽したといわれる「庭の訓」一名「乳母の文」にも、「庭の草はけづれども絶えぬものにて候ぞかし」といってあります。そんなことを口にして、「昔から草は伸びるものとなっているのですね」などと、母と語合うのでした。

草取りをしてくたびれると、母は隣り境にある臥牛のような大石に腰を下して休まれます。それは観潮楼が出来上った時、千樹園という植木屋が勧めて入れたもので、子供たちはその背の上を面白がって歩くのでした。その石は今もきっとそこらにあるでしょう。気の利いた女中が掃除の済んだ跡で、飛石に雑巾をかけましたら大層喜ばれましたので、それから何か母の機嫌を損うと、すぐ飛石洗いをすると笑われました。

兄も庭の綺麗なのがお好きでした。縁の隅に麻裏草履が置いてあって、食後などには折々庭へ出て見られるのですが、上る時には必ず元のように裏返しにして置かれます。心ない客が燐寸の軸などを庭に投げたりするのをひどく嫌って、客が帰るとすぐに拾わせるのでした。

庭には大盃という楓樹があって、根元につくばいが据えてあり、いつも綺麗な水が溢れるようにしてありました。