Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

その団十郎が「高時」を上演しました時に、勧められて祖母と一緒に見に行きました。母は次兄に連れられて、とっくに見られたのです。

団十郎の扮した高時の頭は円く、薄玉子色の衣裳には、黒と白との三つ鱗の模様が、熨斗目のように附いていました。立派な御殿の廂の蔀を下した前に坐っています。どろどろの鳴物でそこらが暗くなりますと、天狗が幾つも出て来ます。皆羽根を附けていて、欄干を伝うのもありますし、宙返りなども鮮かにするのです。その役者たちは、幾日も熱心に物干に下りた鳶を見て研究したのだそうです。やがて高時の側へ来て、頻りに嘴を動かすのは、舞を教えようというのでしょう。高時は機嫌よく立上って、「習おうとも、習おうとも」といって、天狗どもに引廻され、不思議な挙動をさんざん繰返した後に、疲れ果てて睡ります。怪しい気配を訝しがった城入道その他の人々が、廊を踏鳴らして近寄ると、天狗たちはばらばらと柱をよじ上り、鴨居を伝わって逃散ります。そして虚空から、「天王寺の妖霊星を見ずや」と歌います。その声が聞えると、高時は正気に返って立上り、小長刀片手に空を睨みます。駈寄った人々が燭を差上げ、片手を刀の柄にかけて、同じく空を見上げたところで幕になりました。