Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
「それはおうるさいでしょうが、そっとしてお置きの方が早くお癒りになりますよ」となだめますと、看護婦がまた口を挟んで、「召上り物はよく上りますけれど、昨晩あまり甘いお菜だから、さっぱりした大根卸が食べたいとおっしゃいます。けれどもそんな物はございませんといっても、これだけ大勢の食事を拵えるのに、大根の切れ端くらいないはずはないとおっしゃるので困りました」というのです。
「おばあ様、ここではね、何でもすっかり出来上った品を運んで来て、附けわけるのですから、大根の切れ端はありますまい。あした大根と卸金とを持って来ましょう。きょうのお見舞はきんとんです」といいますと、「甘くてもきんとんならば」とお喜びでした。
帰りに賄室の前を通る時に見ましたら、間の時間なので、がらんとしていて人気もなく、小鼠がちょろちょろ走っていました。廊下では繃帯をかけたり、黒い眼鏡をかけた人に多く出逢います。目の悪い人も多いものだと思いました。
退院後は大分元気を取戻されて、また元のような静かな日が続きました。
或日森の母が見えて、「お前の家の紋本があるなら見せてほしい」といわれます。