Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

縁がないらしくまだ出会いません、などと西洋への手紙に書いたものです。

そこを過ぎて三島神社の前を通ります。その横からお酉様へ行く道になるのですが、私はお参りしたことがありません。いつもひどい人出だとのことで、その酉の日には、大分離れたここらまで熊手を持った人が往来します。その前日あたりから、この辺の大きな店で、道端に大釜を据えて、握り拳くらいある唐の芋ですが、それを丸茹にするのです。その蓋を開けた時にでも通りかかると、そこら中は湯気で、ちっとも見えません。それくらい量が多いのです。お酉様は早くから参るのですから、前日から支度をします。その茹で芋の三つか五つかを、柳でしょうか竹でしょうか、そうした物で貫いたのを環にして店に盛り上げます。熊手を肩に、その芋の環を手にしたのが、お酉様の帰りの姿でした。

私が幼かった頃、いつも母の膝の上にいたがりますので、兄は私を、おかめ、おかめ、といわれました。母が熊手で、おかめがそれに附いていて離れないというのでした。そんな詰らないことも思出されます。

両大師の際の学校の頃は、少し早く行くと、そこらの草原は露が深くて、歩けば草履の裏がすっかり濡れるほどでした。