Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
さあ心配でたまりません。無事に帰朝されて、やっと安心したばかりですのに、どんな人なのだろう。まさか詰らない人と知合になどとは思いますけれど、それまで主人の知己の誰彼が外国から女を連れて帰られて、その扱いに難儀をしていられるのもあるし、残して来た先方への送金に、ひどくお困りなさる方のあることなども聞いていたものですから、それだけ心配になるのでした。
夜更けて帰った主人に、どんな様子かと聞いて見ても、簡単に分るはずがありません。ただ好人物だというのに安心しました。事情も分ったらそれほど無理もいうまいとの話に頼みを懸けたのです。
それから主人は、日ごとというように精養軒通いを始めました。非常に忙しい中を繰合せて行くのです。次兄はまだ学生ですし、語学も不十分です。兄は厳しい人目があります。軍服を著て、役所の帰りに女に逢いには行かれません。それに較べると主人は気楽ですから、千住では頼りにして、頻りに縋られます。父は性質として齷齪なさいません。どうにかなるだろうくらいの様子でしたが、母は痩せるほどの苦労をなさいました。何しろ日本の事情や森家の様子を、納得の行くように、ゆっくり話さねばなりません。