Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ
鴎外・芥川・菊池の歴史小説
宮本 百合子
Lesen Sie 鴎外・芥川・菊池の歴史小説 (おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.337 Zeichen · 24 Bildschirme
これらの点についての社会の判断は明らかに武士と庶民に対して違った標準で見られたであろうと思える。弟と兄と逆になればおのずと違ったものの在ったろうと思えるのも、時代が封建であったからである。
財産についての観念も、扶持もちの侍と喜助とでは全く別世界のものである。
鴎外は、歴史小説という意味では、「高瀬舟」の中に、このいずれの点をも追究していない。作者としての主観にいきなり立って、財産についての観念、ユウタナジイの問題に興味をひかれているところがまた私たちには面白い。鴎外の主観は、一方に昔ながらのものを持ちつつも、やはり明治は四十五年を経て大正と進んで来ている時代の知識人の主観であって、その主観は既に身分としての武士と庶民とを自身の感覚のうちに感じ分けてはいず一般人間性にひろがっている。一般人間性のこととして、喜助の財産の観念にもユウタナジイのことにも興味をひかれている。鴎外のこの進歩性に立つ面も、更に一層歴史に対する観念の進んだ立場から顧みられるとき、彼が一般人間性に歩み出した新しさに止って、人間性をその先で具体的な相異においている社会的な関係へは洞察を向けていないことで、それ自身一つの歴史的限界を示しているのは、何と意味深いところであろう。