Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ
鴎外・芥川・菊池の歴史小説
宮本 百合子
Lesen Sie 鴎外・芥川・菊池の歴史小説 (おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.337 Zeichen · 24 Bildschirme
作者はこの事件をめぐる総ての人々の心理を、その時代のそのものとして肯定して描き出している。阿部一族の悲劇は悲劇として深い同情をもって映されていて、そこに作者の人間性においての抗議や批判は表現されていないのである。これは特に私たちの注意をひく点ではなかろうか。鴎外が、この時代の悲劇はその時代のものとして、人々の感情行動の必然のモメントをもその範囲において描いたということは、鴎外が歴史というものを扱った態度の正当な一面であったと思う。誤った近代化や機械的な現代化はちっとも行われていない。そのことは作品の自然さと重厚な真実性とをもたらしているのであるけれども、例えば「阿部一族」の読者は、精彩にみち、実感にふれて来るこの雄大な一作をよんだのち、満足とともに何とはなし自分の体がもう一寸何かにぶつかる味を味ってみたかったような気分に置かれることはないだろうか。いかにも完成された作品であり、豊かな完璧な作品にちがいない。だが、もう一寸何か皮膚にじかにふれて来る何かがあってもよくはないか。そんな感想にとらわれることはないだろうか。
鴎外は芸術家として生れ合わせた明治という時代の特質を、漱石とは異った組み合わせで身につけていた人であったと思う。