Japanische Klassiker mit Furigana
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こうのすにょうぼう
鴻ノ巣女房
矢田 津世子
Lesen Sie 鴻ノ巣女房 (こうのすにょうぼう) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.884 Zeichen · 24 Bildschirme
真っ白いところに淡紅いぽつぽつのあるコスモス模様のカーテンである。裳裾の房がパタパタと鳴る。すると、カーテンはふんわりと揺れはためく。
夢の中の西洋間は、雑誌の口絵で見かけたことのあるえらい方のお邸のようでもあるし、工場にいたころ友だちに誘われて見た活動写真の中の場面のようでもある。その活動では背の高い素敵な西洋美人が伯爵の恋人と囁きかわすところがあったり、馬に乗って散歩するところがあったりして、今でも思い出すたんびにぎんは悩ましくって溜息が出る。そんなとき、無性に、寺島捨吉が慕わしかった。
ぎんがこの小間物行商人と馴れ染めたのはレース工場にいたときのことである。大阪にあるその工場の女工になったのは十八の齢であった。北秋田の潟に近い小さな町でぎんは生れた。父親は町役場の小使をつとめ、母親は水汲み下女だった。ぎんは小学校を中途でやめさせられて校長先生の家へ子守りにやられた。
校長先生には「赤髭コ」という諢名がついていた。寒中でも真っ裸になって井戸端で水をかぶる人だった。赤ん坊をおぶったぎんが学校へ遊びに行くと、子供たちが寄ってきて、こんな悪口を云うのだった。