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Japanische Klassiker mit Furigana

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がこせんにん

鵞湖仙人

国枝 史郎

Lesen Sie 鵞湖仙人 (がこせんにん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.555 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

その中の或者が夫れを利用し、勝れた忍術家となったのである。

由井正雪は丘を下り、どこへとも無く行って了った。

こうして深夜五更となった。

すべて忍術家というものは、五更と三更とを選ぶものである。

鵞湖仙人の大館は森閑として静まっていた。

月も無ければ星も無い、どんよりと曇った夜であった。

と、竹藪から竹の折れる、ピシピシいう音が聞えて来た、風も無いのに竹が折れる、不思議と耳を傾けるのが、普通の人の情である。しかし、そっちへ耳傾けたが最後、心が一方へ偏して了う。偏すれば他方ががら空きとなる、そこへ付け入るのが忍術の手だ。

竹の折れる音は間も無く止んだ。後は寂然と音も無い。

鵞湖仙人はどうしているだろう? 由井正雪は何処にいるだろう? 勿論竹を折ったのは、正雪の所業に相違無い。

と、厩で馬が嘶いた。さも悲しそうな嘶き声である。

だが夫れも間も無く止んだ。そうして後は森閑と、何んの物音も聞えなかった。

屋敷は益々しずまり返り、人の居るような気勢も無い。

と、二階の窓が開き、ポッと其処から光が射した。

そこから一人の若い女が、夜目にも美しい顔を出した。どうやら何かを見ているらしい。