Japanische Klassiker mit Furigana
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がこせんにん
鵞湖仙人
国枝 史郎
Lesen Sie 鵞湖仙人 (がこせんにん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.555 Zeichen · 22 Bildschirme
どう睨んでも幽霊では無い。
正雪、腕を組んで考え込んだ。
そこへ娘が引き返して来た。
「お目にかかるそうでございます。どうぞお通り下さいますよう」
で、正雪は玄関を上った。
通されたのは奇妙な部屋だ。三間四方の真っ四角の部屋、襖も無ければ障子も無い。窓も無ければ出入口も無い。
「はてな」と正雪は復考えた。「俺はたしかに案内されて、たった今此部屋へ這入った筈だ。それだのに一つの出入口も無い。一体どこから這入ったのだろう?」
どうにも彼には解らなかった。四方同じ肉色の壁で、それが変にブヨブヨしている。そうして無数に皺がある。その皺が絶えず動いている。延びたかと思うと縮むのである。壁ばかりでは無い。天井も然うだ。天井ばかりでは無い床も然うだ。現在坐っている部屋の板敷が、延びたり縮んだりするのである。床の間も無ければ違い棚も無い。一切装飾が無いのである。
気味が悪くて仕方が無かった。
「ううむ、こいつは遣られたかな」
正雪は心を落ち着けようとした。彼は眼を据えて板敷を見た。と不思議な筋があった。その筋は三本あった。部屋の一方の片隅から、斜めに部屋を貫いていた。