Japanische Klassiker mit Furigana
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つるはやみき
鶴は病みき
岡本 かの子
Lesen Sie 鶴は病みき (つるはやみき) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.495 Zeichen · 53 Bildschirme
氏の敏感はすぐその私に気がついたらしく流石に黙って立ち上った氏の顔を私が視たとき私はたしかに氏の顔に「自己満足の創痍。」を見た。私はあの時の氏の「自己満足の創痍。」に氏の性格の悲劇性をまざまざ感じたのを今もはっきり覚えて居る。
叔母さんのいわゆる「うしろ暗さ」をさしあたり麻川氏に探せば以上のような先日中からのいきさつのいろいろが想い出される。だが、氏が「自己満足の創痍。」のためにやや蹌踉として居る始末までをなお私が氏からこの上負わされるのはやり切れない。
某日。――氏の部屋には大勢の氏の崇拝客が殆ど終日居並んでいた。氏は客達の環中に悠然と坐って居ると殆ど大人君子のような立ち優った風格に見える。あれを個人と対談してひどく神経的になる時の女々しく執拗な氏に較べると実に格段の相違がある。それにしても或る人が或る人を云うのに、「自分はあの人に何年つき合って居る。」などとその人を知悉して居るように云うのを聞くが、私には首肯出来ない。一昼夜のうちに或る一定時間に主客として逢ったとて要するにそれはその人にとって置きの対人的時間を選んで逢ったものに過ぎない。どんなに砕けて応対してもそれはその人のとって置きの時間内での知己である。