Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
怪しい声も時どきに聞えた。どう考えても、何かの怪物が歯をむき出して嘲り笑っているような、気味の悪い声である。もしや空耳ではないかと、叔父は自分の臆病を叱りながら幾たびか耳を引っ立てたが、聞けば聞くほど一種の鬼気が人を襲うように感じられて、しまいには聞くに堪えられないように恐ろしくなって来た。
「ええ、どうでも勝手にしろ。」
叔父は自棄半分に度胸を据えて、ふたたび横になった。以前のように表をうしろにして、左の耳を木枕に当て、右の耳の上まで蒲団を引っかぶって、なるべくその声を聞かないように寝ころんでいると、さすがに一日の疲れが出て、いつかうとうとと眠ったかと思うと、このごろの長い夜ももう明けかかって、戸の隙間から暁のひかりが薄白く洩れていた。
僧は起きていた。あるいは朝まで眠らなかったのかも知れない。いつの間にか水を汲んで来て、湯を沸かす支度などをしていた。炉にも赤い火が燃えていた。
「お早うございます。つい寝すごしまして……。」と、叔父は挨拶した。
「いや、まだ早うございます。ゆるゆるとおやすみなさい。」と、僧は笑いながら会釈した。気のせいか、その顔色はゆうべよりも更に蒼ざめて、やさしい目の底に鋭いような光りがみえた。