Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
そこらは自由に往来が出来ないように混雑していた。
わたしはその賑わいを後ろにして池の端から根津の方角へ急いだ。その頃はまだ動坂行きの電車が開通していなかったので、根津の通りも暗い寂しい町であった。路ばたには広い空地などもあって、家々のまばらな灯のかげは本郷台の裾に低く沈んでいた。わずかの距離で、上野と此処とはこんなにも違うものかと思いながら、わたしは宵闇の路をたどってゆくと、やがて団子坂の下へ曲ろうとする路ばたの暗いなかで、突然にきゃっという女の悲鳴が聞えたので、わたしは持っているステッキを把り直して、その声をしるべに駈け出すと、出逢いがしらに駈けて来る一人の男があった。あぶなく突き当ろうとするのを摺りぬけて、彼はどこへか姿を隠してしまった。月はないが、星は明るい。少しく距れたところには煙草屋の軒ランプがぼんやりと点っている。その光りをたよりに透かしてみると、草原つづきの空地を横にした路ばたに、二人の女の影が見いだされた。
「どうかなすったんですか。」と、わたしは声をかけたが、女たちはすぐに答えなかった。
かれらの悲鳴を聞いて駈け付けたらしい、わたしに続いて巡査の角燈の光りがここへ近寄った。