Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
盗んだ者を今さら詮議する必要もないが、届けてくれた者だけは、それが何人であるかを知って置きたいような気がしてならない、と邦原君は言っている。
以下は邦原君の談話を紹介するのであるから、その兜について心あたりのある人は邦原君のところまで知らせてやってもらいたい。それによって、彼は今後その兜に対する取扱い方をすこしく変更することになるかも知れないのである。
まずその兜が邦原家に伝わった由来を語らなければならない。文久二年といえば、今から六十余年のむかしである。江戸の末期であるから、世の中はひどく騒々しい。将軍家のお膝元という江戸も頗る物騒で、押込みの強盗や辻斬りが毎晩のように続く。その八月の十二日の宵である。この年は八月に閏があったそうで、ここにいう八月は閏の方であるから、平年ならばもう九月という時節で、朝晩はめっきりと冷えて来た。その冷たい夜露を踏んで、ひとりの男が湯島の切通しをぬけて、本郷の大通りへ出て、かの加州の屋敷の門前にさしかかった。
前にもいう通り、今夜は八月十二日で、月のひかりは冴え渡っているので、その男の姿はあざやかに照らし出された。